第39章 ロマンチックな夜

藤原修一を誘惑した疑いを晴らせないような状況になってしまった。

藤原修一も一瞬固まった。スピーカーフォンになっていたので、佐藤幸子の声はもちろん聞こえていた。

彼の帰宅のタイミングは...あまり良くなかったようだ。

「聞いてる？もしわからないなら、私が参考資料を持ってるから、見て勉強してみたら...」

水原寧々は慌てて電話を切った。そのあわてぶりで、スマホを床に落としてしまう。

水原寧々は内心焦った。これは買ったばかりのスマホだ。壊れたらまた出費がかさむ。

彼女は両手を伸ばしてキャッチし、なんとかスマホを無事に救った。

藤原修一は入口に立ったまま、表情からは何も読み取れなかった...